海外レポート<2013年12月>

インド・ブッタガヤ・ラフールナガール村での活動

今回ブッタガヤのラフールナガール村を訪れた時に、里親支援の対象家庭の子どもの一人が「学校は退屈だから行っていない」と言っていました。この村の小学校では、体育や音楽、図工の授業はほとんど無く、先生も無気力で無断欠勤も多い上、授業は質疑応答もなく先生の話を聞くだけの状況であり、学ぶ楽しさが提供出来ていない状況にあります。

 

そこで仏教子ども救援基金は、ラフールナガール小学校の授業を魅力的に変える試みを始めました。


第一回目の授業では、日本の絵本を翻訳して読み聞かせを行いました。事前に絵本の授業と告知したこともあり、この日の生徒数は普段よりも多く登校しました。絵本の読み聞かせが始まると、50人以上いる子ども達が一言も友達としゃべったりせず、熱心に聞いてくれていました。この授業に出席した子ども達が、学校に来ていない子ども達に「絵本の授業は楽しかった!」と伝える事で、出席率は少しずつ上がって行くはずです。ラフールナガール村の小学生は日本の絵本にかなり興味があるようなので、どんどん絵本の授業を増やしていく準備を進めています。また絵本の絵の輪郭を塗り絵用にコピーして、生徒に配る準備も行なっています。

 

この小学校では理科の実験などの授業は無いので、私たちは絵本の読み聞かせと同時に、子ども達が興味を持ってくれそうな「シャボン玉作り」や「風船実験」を計画しています。

 

この村には電気が通っていないため各家庭にテレビ等がありません。子ども達は、ほとんどこの地区から外に出た事がないために、基本的な生活情報も得られず、社会全体への関心も育たない閉塞的な状況です。多くの子ども達は、絵本や風船、シャボン玉にもほとんど触れたことが無いので、学校での私たちの授業をとても楽しんでくれる事でしょう。私たちは、貧しいラフールナガール村の子ども達が、楽しい学校の授業の提供によって教養を身に付け、その未来を切り開いていけるよう力を尽くす所存です。

第一回目の絵本の読み聞かせ授業
第一回目の絵本の読み聞かせ授業
床に敷かれている布は私たちの寄付したもの
床に敷かれている布は私たちの寄付したもの

バングラデッシュの首都ダッカでの活動

鉄道の線路沿いにあって他団体や政府の支援が無い「テスガンスラム」で私たちは日本の絵本を読み聞かせるプロジェクトを開始しています。今回は現地でボランティアを行っている日本人の方にご協力頂いて、絵本の読み聞かせを行いました。ボランティアの方はベンガル語が堪能なため、スラムの子ども達も熱心に聞いていました。

ボランティアの方が絵本の読み聞かせをしている様子
スラム内で絵本の読み聞かせをしている様子

スラムは無法地帯であり、住居は無許可で建てられ、シンナーや麻薬も大人から子どもまで使用している状況であり、道徳観念の乏しい人も多いため犯罪の巣窟になっています。次世代を担うスラムの子ども達に日本の絵本を読み聞かせる事で、情操教育を育み、スラムの治安改善を目指し、定期的にスラムを見回ることで、スラムに住む女の子が少女買春の危険に晒されるリスクを無くしていきます。

ネパール-インド間の国境での活動

インドの売春宿にはネパール人の少女が働いていることがあります。そうした子ども達はネパールの貧しい山村地帯から売られ、強制的に売春行為をさせられている子ばかりです。ネパールの少女がインドに売られない為に、ネパールのNGO(民間支援団体)がネパール-インドの国境において検問活動をしています。

 

しかしネパール側の三つの国境検問所で覆面調査したところ95%以上の少女は検問検査をされず素通りしていきました(人身売買の斡旋業者は、カモフラージュのために検問所では少女を一人ずつ歩かせます)。これは検問所は違法薬物の取締りだけを行い、ネパールのNGOには通行人を検査する権限が無いためです。

検問を通り過ぎる少女。
検問を通り過ぎる少女。

そこで私たちは、ネパールのNGOと警察との関係を強化するためのプロジェクトを計画しています。警察を動かすという事もあって大変に困難なプロジェクト ですが、もしこれが成功すれば、インドの売春宿に売られていく多くのネパール人少女を水際で守ることが出来ると考えています。