平成26年度下半期活動報告(国内)

東日本大震災支援活動

平成23年度から続く活動として、宮城県南三陸町の仮設住宅を回り、高齢者に呼びかけ、歌による心のリハビリ「歌声ひろば」を専門ボランティアにより行い、同時に仮設住宅の子ども達の遊びの機会を提供する「子ども縁日」を開催してきました。震災後3年が過ぎて支援者が激減している今でこそ、あえて仮設を訪問するこの事業に意味があると考えます。

「歌声ひろば」の様子
「歌声ひろば」の様子

今回は10月にボランティア4人と共に仮設住宅を回りました。仮設住宅は自治会が結成され、集会所では、住民のさまざまな集まりが行われています。私たちの活動はこの集会所で行ないます。集会所に事前に貼って頂いた訪問予定のチラシを見た高齢者の方々にお集まりいただき、またお顔の見えない方は自治会の方が呼んできて下さいます。仮設住宅での生活が3年にもなりますと、連帯感が生まれているようで、当初は懸念されていたような仮設住宅での孤独死などは都会よりは格段に少ないようです。同じ苦しみを経験した同志というためか、また東北の風土もあり、助け合いの気もちが非常に強く感じられます。

今回も支援の方から頂いた物資(マフラー200枚)を「歌声ひろば」にお集まりの高齢者の方に配りました。また集会所前で同時に行なう「子ども縁日」では、巨大シャボン玉作りとおもちゃの金魚すくい、風船ロケット飛ばしをしました。

「歌声ひろば」マフラーのプレゼント
「歌声ひろば」マフラーのプレゼント
金魚すくいに夢中なお年寄り
金魚すくいに夢中なお年寄り

文房具を選ぶ仮設住宅の子ども
文房具を選ぶ仮設住宅の子ども

また、会員の方から頂いた文房具を配布しました。金魚すくいは高齢者の方たちにも好評で、子どもたち以上に歓声が上がっていました。


な お現在は、基本的には支援物資の配布はしておりません。その理由は仮設住宅には物を置くスペースが少なく、自治会も自立を目指す意味で物資の配布を受け付 けないからです。


しかし子ども高齢者の方へのちょっとしたお土産という意味での配布は大歓迎だそうですから、訪問した際にお配りしております。


仮設住宅での助け合い

毎回訪問している戸倉地区(13の仮設住宅群が点在する)では、わかめを生産する戸倉地区漁協からわかめを買い取り、それを仮設で暮らす50~70代の女性が袋詰めと販売を始めています。震災以前、三陸海岸沿いの人たちは漁師で生計を立てるか、数多い海産物の加工所で働くことで生計を支えていました。しかし、加工所がほとんど廃業となった現在では、加工所に勤めていた人のうち、男性は復興事業による土木建築等の仕事についていますが、女性は仕事がありませんでした。

生わかめの袋詰めの様子
生わかめの袋詰めの様子

そこで住民は、女性の仕事をつくり、同時に仮設にこもりがちな状況を変えようと、みんなで生わかめを加工販売するNPO法人を立ち上げました。加工は集会所で行ない、販売は震災の支援者に対してや、そのつてがある東京のスーパー1軒でも行なっていますが、震災3年目になると、支援の意味で買ってくれていた方の購入が減り、年間5000kgぐらいしか売れなくなっているということです。これではアルバイト1人が月に2万円程度しかもらえない状況です。

お年寄りを宴会に招くNPO
お年寄りを宴会に招くNPO

なお、このNPO法人の売上げ利益は、仮設住宅に暮らす高齢者や子どもの為の活動に充てられています。生わかめは1袋200gで350円ですが、定価の6割は漁協からの購入費、残り4割が袋詰め等の人件費(時給750円)の支出と、仮設の高齢者や子ども達の活動に充てられているとのことです。


仏教子ども救援基金ではこの生わかめをご寺院の皆さまに購入頂けるように心よりお願い申し上げます。是非、檀信徒への配り物、行事での記念品としてお使い下さい。


高台移転が動き出しました

高台から臨む南三陸町
高台から臨む南三陸町

3年目に入りようやく高台移転の計画が進み出しました。南三陸町のあちこちでも山が崩されています。しかし裕福な家庭や高台移転を待てない事情の家庭は高台に土地を求めて、すでに仮設住宅を出ています。

一方、町の移転事業を待っている仮設住民は、来年中には高台が整備されて仮設を出られそうで、昨年より明るい雰囲気が出てきました。

 

しかし高台移転にも問題があります。

高台は町が希望者に販売しますが、津波で流された家に対して支給された補助金は100万円ほどです。工務店との相談となる家の建設費用には補助はありません。被災者の負担は大きいでしょう。また、この町の多くは高齢者世帯のため、3階建ての町営住宅が建てられるそうです。しかし40平米で家賃は最低1万7千円ですから1人暮らしの国民年金生活者の方は大変でしょう。

仮設住宅と後方の山が移転地
仮設住宅と後方の山が移転地
高台移転地での風景
高台移転地での風景

来年には仮設住宅を移れる希望が生まれる一方で、仮設生活で出来た人間関係をまた最初から作る事への不安と、経済的な問題への不安を 感じる方が多くいる状況が、震災から3年半を経た南三陸町の現在です。